YuOkumura’s blog

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死ぬことと見つけたり

隆慶一郎(1923~1989)という作家を知っていますか?

 

パチンコやアニメで有名な、花の慶次の原作『一夢庵風流記』や、江戸吉原を舞台にした『吉原御免状』などの、時代小説を書いている小説家であり、脚本家です。

 

〝時代小説〟というと、日本史に詳しくないと理解できなそう!なんだか文章が難しそう!漢字が多そう!などといった理由から、なかなか読み始める機会がない人が多いと思います。実際に私もそうでした。

 

初めて隆さんの作品を読んだのは、今から5年ほど前のことです。友人に、隆さんのある作品を勧められたことがきっかけでした。佐賀の鍋島藩の青年武士を主人公とした物語『死ぬこととみつけたり』という作品です。

 

まずタイトルかっこいいですよね。死ぬってこと!?死に方?死ぬことを見つけるってこと?どういうこと!?聞きなれない言い回しなので、タイトルを読んだだけでは、よく理解できません。

 

〝死ぬこととみつけたり〟とは、物語の筆者が戦時中に徴兵されたときに、実際に現場に持って行って読んだ『葉隠』という書物のなかの一節で、武士とはこうあるべきであるという、武士の心得が書かれた、江戸時代の書物です。

 

葉隠、そしてその中に登場する、死ぬことととみつけたり、という一節をキーワードに展開される武士の心得、生き様、思考の物語なのです。

 

隆さんは、もともと会社員や大学の講師をしていたそうです。そのあとは脚本家として活躍していて、小説家として活動したのは、晩年のわずか5年という短い期間でした。しかし、その中で数々の素晴らしい作品を生み出しました。

 

隆慶一郎作品の良いところは、どの作品も時代小説であり、時代背景は江戸時代など昔であるけれど、物語の登場人物の言葉や、せりふは現代の私たちにとても響きます。また、内容の全てがフィクションではなく、しっかりとした歴史的事実をもとに物語が繰り広げられ、そこに作者の豊かな想像力がプラスされているので、とてもわかりやすく、なおかつ勉強になります!歴史的事実と、歴史の空白を作者の想像力で補い、それ以上の物語を作っていくという作風は、漫画、『キングダム』と通ずるところがあると思います。しかし、わたしは原泰久さん以上に、隆さんの作品、想像(創造)力、物語をつくりあげる力を評価したいとおもいます。

 

とにかく、どの作品を読んでも引きこまれ、勇気や、やる気をもらったり、感動したり、ときには心痛くなったりします。

 

最後にわたしのオススメの隆慶一郎作品を紹介します。

 

吉原御免状

江戸吉原を舞台に、宮本武蔵に育てられた主人公が、吉原の人々や、幕府の陰謀、柳生家のとの関わりの中で成長していく物語。隆さんのデビュー作です。主人公の強さは、呂布や龐煖、範馬勇次郎を彷彿とさせるチートですが、それでもおもしろい!

 

一夢庵風流記

パチンコやアニメで誰もがしっているはず『花の慶次』の原作です。これもまた、無敵の強さを誇る主人公、前田慶次郎の物語です。相馬の松風や、相棒の奥村助右衛門が強すぎる。傾く(かぶく)ことに命をかけた傾奇者。どの時代にも必ず存在する、アウトサイダーたちの生き様の物語です。

 

影武者徳川家康

徳川家康は実は死んでいた!?あるときから、家康が影武者と入れ替わっていたのではないか!?とされる、歴史的見解から、作者の豊かな想像力と創作をもって書かれた作品です。上、中、下巻の1000ページを超える大作ですが、それだけの読み応えと、多くの歴史的事実を学べます!隆慶一郎を好きになったあなたなら、必ず読めるはず!!!

 

以上、

 

おわり